連結会計では原則すべての子会社が対象ですが、一定の基準により「連結除外」が認められます。 本記事では、連結会計における連結除外の具体的な基準と、除外された場合の会計処理について分かりやすく解説します。
連結会計を行う上で、すべての子会社を連結範囲に含めるのが原則です。しかし、実務上の負担や重要性を考慮し、特定の会社を連結の範囲から除外する「連結除外」というルールが設けられています。
連結会計の基本的な考え方は、親会社と子会社を一つの経済的な実体、つまり一つのグループとして捉え、そのグループ全体の財政状態や経営成績を報告することにあります。この目的を達成するため、会計基準では、親会社が議決権の過半数を所有している、あるいは実質的に経営を支配していると認められる「すべての子会社」を連結の範囲に含めることを原則としています。
これは「フルコンソリデーション(全部連結)」と呼ばれ、投資家などの利害関係者に対して、グループの総合力を正確に示すために不可欠なルールです。単体の財務諸表だけでは見えない、グループ全体のリスクや収益力を明らかにする重要なプロセスとなります。
すべての子会社を連結するのが原則である一方、会計実務においては例外的に「連結除外」が認められています。この背景には、会計情報を作成するコストと、その情報がもたらす有用性(メリット)を比較衡量するという考え方があります。例えば、グループ全体の規模に比べて極めて小規模な子会社を一つひとつ連結範囲に含めると、連結財務諸表を作成するための作業負担やコストが非常に大きくなるでしょう。それにもかかわらず、その子会社がグループ全体の業績に与える影響がほとんどない場合、多大なコストをかけて作成した情報が、投資家などの意思決定に役立たない可能性が出てきます。
このように、実務上の負担が大きく、かつ重要性が乏しい会社まで含めることは合理的ではないため、一定の基準のもとで除外が認められているのです。
子会社を連結除外するには、明確な基準を満たす必要があります。基準は「重要性の原則(量的基準)」と「質的基準」の2つに大別されます。
連結除外を判断する最も一般的な基準が「重要性の原則」です。これは「量的基準」とも呼ばれ、子会社の規模がグループ全体に与える影響の度合いで判断します。具体的には、その子会社の資産、売上高、当期純損益、利益剰余金といった各項目が、連結財務諸表全体に占める割合が非常に小さいかどうかを数値的に評価します。
もし、その子会社を連結範囲から除外したとしても、グループ全体の財政状態や経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせる恐れがないと認められる程度に影響が軽微であれば、連結除外が可能です。ただし、どの程度の割合であれば「重要性が乏しい」と判断するかは、会計基準で一律に定められておらず、企業グループの実態に応じて合理的に判断する必要があります。
もう一つの基準は「質的基準」と呼ばれるものです。これは子会社の規模(量)ではなく、その性質や状況に基づいて判断されます。代表的な例は、親会社による子会社の支配が「一時的」であると明確に認められる場合です。例えば、近い将来に売却することが決定しており、そのために一時的に保有している子会社などが該当します。
このような会社は、もはやグループ経営の恒久的な構成員とは言えないため、連結の範囲に含めることはかえってグループの実態を誤解させる可能性があるためです。また、これ以外にも、連結することによって利害関係者の判断を著しく誤らせる可能性があると認められる、特殊な事情がある子会社も連結除外の対象となる場合があります。
連結除外を適用する際には、いくつかの注意点があります。特に「重要性の原則(量的基準)」を用いる場合、個々の子会社は小規模で重要性が乏しいと判断されても、それら除外対象となる複数の子会社全体で集計すると、グループ全体に対して大きな影響を持つ可能性があります。会計基準では、このようなケース、つまり「個々としては重要性が乏しくても、全体として集計すると重要性が増す場合」には、連結除外を認めていません。したがって、重要性の判断は個社ごとに行うだけでなく、除外候補となる会社全体の影響度も考慮しなくてはなりません。
また、連結除外の判断は一度行ったら終わりではなく、毎期見直す必要があります。企業の状況は常に変化するため、慎重な検討が求められます。
連結除外された子会社(非連結子会社)は、連結財務諸表に全く影響しないわけではありません。原則として「持分法」という会計処理が適用されます。
連結の範囲から除外された子会社、すなわち「非連結子会社」は、連結財務諸表の作成プロセスにおいて資産や負債を合算(フルコンソリデーション)されません。しかし、非連結子会社であっても親会社が一定の影響力を持っていることに変わりはなく、その業績はグループにとって無関係ではありません。そのため、原則として「持分法(もちぶんほう)」という会計処理が適用されることになります。
持分法とは、非連結子会社や関連会社の純資産および当期純損益のうち、親会社の持分(所有割合)に相当する金額を、親会社の連結財務諸表における「投資勘定(投資有価証券など)」と「損益(持分法による投資損益)」に反映させる方法です。これにより、連結除外しても、その子会社の業績が間接的にグループの利益に取り込まれる仕組みになっています。
連結除外された子会社には原則として持分法が適用されますが、この持分法にも「重要性の原則」に基づく例外が存在します。連結除外の判断基準と同様に、非連結子会社がグループ全体の当期純損益や利益剰余金などに与える影響が極めて軽微であり、持分法を適用しなくても利害関係者の判断を誤らせる恐れがないと認められる場合です。
このような場合には、会計処理の簡便性を考慮し、持分法の適用自体を省略することが認められています。持分法の適用を省略された非連結子会社への投資は、親会社の個別財務諸表に計上されている金額(通常は取得原価)のまま、連結財務諸表上の投資勘定として計上されます。ただし、この判断も連結除外の判断と同様に、慎重に行う必要があるでしょう。
連結会計における「連結除外」は、重要性が乏しい子会社や、支配が一時的な子会社に適用される会計処理です。連結除外が適用された場合でも、原則として持分法による処理が必要となります。自社のグループ経営の実態を財務諸表に正しく反映するため、これらの連結除外の基準を正確に理解しておくことが重要です。
連結会計システム(連結決算システム)は多機能なシステムを導入すればいいというわけではなく、自社に適したシステムを見極めて導入することが欠かせません。
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